この記事は、「ギフテッドチャイルド」や「少し変わった行動をするこども」がどういう気持なのか知りたいという方に向けて書いております。 ギフテッドかどうかに関わらず、大人が理解できない行動をするお子さんをお持ちのお父さんお母さんや、お子さんと接する機会の多いご職業の方はぜひご覧ください。
「ギフテッドチャイルド」や「少し変わった行動をするこども」の気持ちというのがわからなくて困っているお父さんお母さん、あるいは教育者の方々がいらっしゃるかと思います。
SNSなどで自分の気持ちを発信するお子さんも昔と比べたら増えてきてはおりますが、それでもまだギフテッドチャイルドの情報というのは少ないですよね。
そこで、この記事ではギフテッドの傾向を持ちながら幼少期を過ごした経験のある私が当時の気持ちを思い出して、あるいは想像して代弁できたらなと思います。
目次
ギフテッドチャイルドとは
ギフテッドチャイルドとは名前の通り、ギフテッドの特徴を持つこどものことです。
ギフテッドに関して知りたい方はこちらの記事【ギフテッドとは】をご覧ください。
ギフテッドの特徴に関してはこちらの記事【ギフテッドの特徴について】でご紹介しております。
ギフテッドチャイルドの気持ち
ギフテッドチャイルドの気持ちとその理由・対策をケース別にご紹介してみたいと思います。
※あくまで、私個人の感覚&想像です。決めつけることのないようお気をつけください。
やる気がないように見えるとき
気持ち
「だってつまらないんだもん」「できるとわかっていることをなんでやらないといけないの」
理由・対策
お子さんのやる気がないと感じるときは、お子さんがそれに対して簡単過ぎると感じていたり、その楽しさをわかっていないということがあります。
こういうときは楽しさ(難しさ)を教えてあげることでやる気が出てくると思います。
もしかしたら私みたいに無気力症候群になっている可能性もありますので、「無気力症候群」というキーワードも頭の片隅に入れておいていただければと思います。
「無気力症候群」に関して詳しく知りたい方はこちらの記事【ギフテッド当事者が語る授業の辛さ!私が無気力症候群になった理由】をご覧いただければと思います。
ぼーっとしているように見えるとき
気持ち
「めちゃくちゃいろいろ考えていた」「頭の中で別のことがグルグルしていた」
理由・対策
周りから見たらぼーっとしているように見えるが、本人は頭の中で思考を巡らせているということはギフテッドあるあるだと思います。そういうときは基本的には邪魔せず見守ってあげましょう。
周りからの声を無視しているとき
気持ち
「え、いつ声かけたの?」「夢中になって気付かなかった」
理由・対策
好きなことに夢中になっているこどもに多いと思いますが、本人は無視しているのではなく単純に気が付いていないだけ、ということがあると思います。
これは過集中という症状に見られる特徴でもあります。
声をかけても気が付かないときは、視界に入ったり、触れるなどして気付かせてあげましょう。
過集中についてはこちらの記事【過集中でも心配無用!当事者が過集中の対策や活かし方を解説】をご覧ください。
今いるところから離れたがるとき
気持ち
「この場所くさい」「うるさい」「まぶしい」
理由・対策
大人からしたら気にならないことが原因でお子さんが不快な思いをしているということもあります。
そういう子は「感覚過敏」や「HSP」という特徴を持っているケースが多いです。
大人がわからない感覚を持っている可能性があるということを頭に入れておいて、お子さんが意思疎通できるご年齢であればちゃんと話を聞いてあげることが大切です。
感覚過敏についてはこちらの記事【感覚過敏の辛さと対策について当事者がお伝えします】でご紹介しております。
独り言を発しているとき
気持ち
「おしゃべりの練習していた」「頭の中のお友達と話していた」
理由・対策
ギフテッドの中には、イマジナリーフレンド(空想のお友達)といって頭の中にだけ存在する人物と話したり遊んだりする子がいると言われています。
私は、空想のお友達というのはいませんでしたが、よく知っている人(家族やお友達)を脳内に登場させて、会話のシミュレーションみたいな感じのことはよくしていました。
これも、そういう子がいるというのを理解して、温かい目で見守ってあげればそれで十分だと思います。
同じことをずっと繰り返しているとき
気持ち
「繰り返すたびに新しい発見があって楽しい」「どんどん上手になっていくのが楽しい」
理由・対策
大人からしたら、意味ないことをただ繰り返しているように見えるかも知れませんが、お子さんからしたら大人には気付けない新たな発見を毎回している可能性もあります。
また、繰り返すたびに自分なりの手応えを感じて、楽しさを感じているというケースもあると思います。
こういうときも無理に終わらせることなく、温かい目で見守ってあげましょう。
通常とは違うやり方をしているとき
気持ち
「こんなやり方見つけたよ」「やったことないことを試すのが楽しい」
理由・対策
新しい方法を探したり、知らないことに挑戦するというのはギフテッドチャイルドにとってはとても楽しいことです。
大人と違って変な既成概念や固定観念がありません。通常のやり方をしないとならない理由もありません。せっかく持っているこどもの才能を枯らしてしまうことのないよう見守ってあげましょう。
才能を枯らさない方法はこちらの記事【赤ちゃんは皆ギフテッド!才能を枯らさない育て方】でご紹介しております。ぜひご覧ください。
人の気持ちを理解してくれないとき
気持ち
「人の気持ちがわかりすぎて、受けいれると疲れちゃう」「あなたとわたしは違うもん」
理由・対策
はたから見たら人の気持ちがわからないように見えても、実際は全く逆のパターンということもあります。
人の気持ちがわかりすぎる、必要以上に共感してしまうというタイプのギフテッドチャイルドもいます。
そういう子の場合、人の気持ちに寄り添いすぎると大人が思っている以上に疲れてしまったり辛くなってしまうことがあります。
そうならないために、あえて感情の流入を遮断しているタイプの子もいると思います。
または、個人の違いというのを小さいうちから理解しているタイプの子もいると思います。
「自分と他人は違うからわからないのは当然だ」という考えを持っている子には、違うのは間違いじゃないが相手の気持ちを考えてあげることの大切さを教えてあげると変化があるかもしれません。
イヤイヤが激しいとき
気持ち
「だってこれが嫌なんだもん」「ちゃんと理由があるのになんでわかってくれないの」
理由・対策
まだ、お子さんが上手に言葉が使えず自分の思いを伝えられないご年齢の場合、大人からみたらイヤイヤ期が激しい(理由もなくイヤイヤになる時期だ)と思われるかもしれません。
しかし、当人としてはちゃんと嫌な理由がある。というケースも多いはずです。
嫌なことがあるのに、理解してくれない。理解しようとしてくれない。という対応がイヤイヤを加速させていないか、ちゃんと見極めてあげましょう。
お腹が空いたと騒いでいるとき
気持ち
「考え事しすぎておなかすいちゃった」「お腹空くのわかっていても考えるの止められない」
理由・対策
お子さんが、まだおやつの時間じゃないのにお腹すいたと騒いでいるとき、さっき食べたばかりなのにお腹が空いたと騒いでいるとき、ただの我儘ではなく本当に親が思っている以上にお腹が空いているというケースがあります。
私自身も、深い思考をした直後に強い空腹感に襲われるということを数え切れないほど経験しております。
そういうときはただのワガママではない可能性もあるので、栄養補給という選択も考えてあげてください。
片付けられると怒るとき
気持ち
「あー全部場所覚えているのになんで散らかしちゃうの!」「勝手に動かされると場所がわからなくなっちゃうじゃん」
理由・対策
これも人によるとは思いますが、私は自分で散らかしたものに関してはどこに何があるか把握しています。
それを勝手に片付けられてしまうと、例え整理整頓されていたとしても、自分で散らかした状況よりは情報へのアクセスがどうしても劣ってしまいます。それがとてもストレスに感じることがあります。
とは言っても、散らかっている状態は良くないでしょと思われる気持ちはわかります。
そういうときは、本人に片付けをさせてあげてください。少なくとも親や周りの人と一緒に片付けに参加すればどこにあるかどうかは把握できます。
どうしても言うことを聞いてくれないときは、自分で片付けるか、他の人が勝手に片付けるのはどっちがいいか選択肢を与えて本人に選ばせてあげましょう。
すぐに飽きてしまうとき
気持ち
「もっと楽しそうなこと見つけた、思い出した」「もうわかっちゃったもん」
理由・対策
飽きるというのは必ずしも悪いことではありません。ギフテッドの子は好奇心旺盛なので、他に楽しそうなことを見つけたらそっちに興味が移るということは多々あると思います。
飽きたのはなく他に興味が移ったという見方をしてあげるのも良いと思います。
あるいは、本人としては「もうわかってしまった」という感覚を持つ子もいると思います。そういうときは大抵、本人の気付いていない楽しさや難しさがあると思います。
もし、もう少し続けて欲しいと思うのであれば、「こういった楽しさや難しさがまだあるよ」ということを教えてあげましょう。
ずっと寝ているとき
気持ち
「考えすぎておなかすいちゃったからとりあえず寝てる」「いろいろ考えていたら嫌なことも考えちゃって疲れちゃった」
理由・対策
これはギフテッドチャイルドに限ったことでもないと思いますが、考え事をし過ぎて疲れてしまい、その結果ずっと寝てしまっているという状況かもしれません。
お子さんが少し寝過ぎかなと思ったときは、ストレスが溜まっていないか確認してあげましょう。
全然寝たがらないとき
本人の気持ち
「寝たら楽しい今日が終わっちゃう」「まだまだ楽しいことしていたい」
理由・対策
ギフテッドチャイルドの中には全然寝たがらない子もいると思います。それは眠るという行為が嫌いなのではなく、寝てしまうと楽しい時間が終わってしまうという感覚を持っているのだと思います。
私自身も寝てるのは好きなので一度寝ると起きたくないのに、起きてるときはずっと起きて楽しいことをしていたいという矛盾したような気持ちが今でもあります。
お子さんが寝たがらないときは、寝てもまた楽しいことができるということを教えてあげましょう。
朝に楽しみを持ってくるだけで寝る気になるというケースも多いと思います。
今までできていたことが突然できなくなったとき
気持ち
「できることやってもつまらないから違う方法探しているの」「新しい事考えた!」
理由・対策
ギフテッドの特徴としてマンネリ(惰性のように繰り返されること)が苦手という感覚があると思います。
できることよりも、できないことを挑戦しているときのほうが楽しいという感覚を持つ子も多いと思います。
そういったタイプの子が、飽きてしまったときなどにわざと今までとは違う方法を試してみたりすることがあると思います。
それがはたから見たら「今までできていなかったことが急にできなくなったように見える」理由かもしれません。
本人としては、ただ新たな実験・挑戦を楽しんでいるだけなので、温かい目で見守ってあげましょう。
話が飛び飛びに感じるとき
気持ち
「話していたら新しいこと思い浮かんだ」「だって前にこの話したじゃん」
理由・対策
常にあれこれ考えているので、話しながら連想ゲームのように違うことを思いついてしまうというケースがあります。
そしてそっちのほうに興味を持っていかれたらその新しい話をしてしまうという子もいるでしょう。
また、IQの高いタイプのギフテッドに多い現象でもありますが、周りの人から見たら話が飛び飛びに感じたり話が繋がっていないように感じる流れでも、当人としてはちゃんと繋がっているというケースはよくあります。
聞き手が想像していない範囲まで物事を想像して話していたり、過去に話した些細なことを覚えていて、それを話が飛んだ理由としていることもあるでしょう。
大人の方でもいらっしゃいますが、特にギフテッドチャイルドに多いのが、聞き手の理解速度や想像範囲を考慮していないタイプです。
みんなが自分と同じ感覚だと思いこんでいたり、どれくらい自分と違うのかということをうまく想定できていないと、このような現象が起きてしまいます。
また、聞き手が自分と違う感覚というのは理解しているものの、相手に合わせるのが負担であったり面倒だという気持ちで、あえてテンポを合わせることはせず自分のペースで好き勝手に話してしまっている子もいるかもしれません。
そういう子には、聞き手の能力を想像するということの必要性や、他者に優しく接する大切さを伝えることによって改善することもあるかと思います。
お父さんお母さんにしてほしいこと
上でご紹介した対策の中で何度も言葉にしましたが、いちばん大切なのはお父さんお母さんや身近な人が、ギフテッドチャイルドの行動を一般的なモノサシで決めつけたりせず、理解して温かい目で見守ってあげることです。
「否定されずに、見守ってもらえている」ただそれだけでお子さんは自分の才能を伸ばしていけます。
固定観念に縛られている人には理解できないことでも、その子にとってはとても重要なことというパターンはギフテッドチャイルドに関わらずありえます。
お子さんの行動の理由を決めつけることはせず、尊重して接してあげましょう。