[共感覚]とは何かについての基礎知識と、[共感覚]を持っている当事者の感覚をメインにご紹介いたします。
「共感覚」という言葉をご存知でしょうか?
私もこの感覚を持っていることもあり、この記事では共感覚について当事者の体験談を交えてご紹介してみようと思います。
目次
共感覚とは
共感覚とは何か。日本大百科全書から引用させていただきます。
共感覚(きょうかんかく)
音を聞くと色が見えたり、味に色を伴ったりするなどのように、ある一つの感覚受容器に刺激が与えられたとき、他の種類の感覚が影響を受けて、その感覚に対応する刺激も与えられているように感じる現象。(以下省略)
日本大百科全書(ニッポニカ)「共感覚」の解説
簡単に言うと、本来感じることのないものに対して、色や味などの別の感覚を感じてしまう現象のことです。
共感覚の具体例
主な具体例としては下記のような特徴が見られます。
- 文字に色が見える共感覚
- 音に色を感じる共感覚
- 数に色が見える共感覚
- 人の性格、姿に色が見える共感覚
- 言葉に味を感じる共感覚
- 音や味、匂いに形を感じる共感覚
これら複数の共感覚を持つ人もいれば、1種類しか持たない人もいます。
一説によると、150種類以上の共感覚が確認されているということも言われております。
自閉症の20%近くの人が共感覚を持っている
こちらの2013年に書かれた論文【Is synaesthesia more common in autism?】によると、自閉症の20%近く(正確には18.9%)の人が共感覚を持っていたという調査報告があります。
ちなみに、その調査では定型発達(非発達障害)の7.22%の人に共感覚を持っている人が見られたようです。
ギフテッドの特徴としても共感覚は見られる
また、こちらは根拠となるデータを見つけられませんでしたが、ギフテッドの特徴として共感覚があげられることも多いです。
ギフテッドについてはこちらの記事【ギフテッドとは】をご参考ください。
私自身もカテゴライズ的にはギフテッドに該当しているのですが、共感覚も持ち合わせております。
ギフテッドの特徴について興味がある方はこちらの記事【ギフテッドの特徴について】もご覧ください。
私の持っている共感覚
わたくしギフ太の持っている共感覚としては下記のものがあります。
- 食べ物を食べると色を感じる(特に苦いものや酸味のあるもの)
- 人の感情や具合いの悪い箇所に色を感じる
ただ、共感覚は同じタイプの人でもその具体的な感じ方は人それぞれ違うと言われております。
あくまで個人の感覚ですが、参考までに私の感じ方をご紹介してみたいと思います。
食べ物を食べると色を感じる(特に苦み臭みのあるもの)
私は食べ物を食べたときに色を感じることが多いです。
実際に色が見えるというよりは何色の味がするといった表現のほうが近いです。
特に、苦味や酸味などに強く色を感じます。
ざっくり分けると、苦味はグレー系の味、臭みのあるものは茶色系の味です。
ただ、細かく言うとその食材や、その時の味によって色は変わります。
例としてあげると、キノコ系の臭みはこんな色で貝系の臭みはこんな色のことが多いです。ビールの苦味はこんな色で、腐りかけの食べ物はこんな色が多いです。
もう少し特徴的のある色をあげると甘いものはこんな色、辛いものはこんな色、酸っぱいものはこんな色といった感じでしょうか。
苦味や臭みの色は勝手に感じてしまうのですが、甘み・辛味・酸味あたりは意識したら感じるという程度のものになります。
人の感情や具合いの悪い箇所に色を感じる
これも意識して感じるものと、無意識に感じるものがあります。
人の感情に色を感じる
前者の人の感情に関しては、いわゆるオーラみたいな感じといったほうが伝わりやすいかもしれません。
怒っている人だと赤色、恋していたりルンルンな人はピンク色、考え事している人はこんな色、穏やかな気持だとこんな色、に感じることが多いです。
学生の頃、同じような共感覚を持っている方に出会ったのですが、その人と一緒にいたときはよくその話をしていたので勝手に色が入ってくる(無意識に感じる)ことがありました。
しかし、その方と離れてからは基本的には意識しないと感じなくなりましたね。
ただ、ごくまれに自然と色が入ってくる人がいます。直近だと(数年前ですが)とある作家さんから無意識に色を感じたことがあります。
普通は一度色を感じたらそんなに簡単に色は変わらないのですが、その方は数秒ごとにころころ色が変わるので気になって聞いてみたところ、構想中の話の妄想をしていたと言われました。
人の具合いの悪いところに色を感じる
これは人によって色が違うということはなく、具合いが悪い人はみんな黒い色です。
色というか黒い霧という方が近い表現かもしれません。その黒い霧の濃さがその人の程度によって違うといった感覚でしょうか。
特に、人の目に感じることが多く、これも普段は意識しないと感じないですが、まれに勝手に感じてしまうことがあります。
そういうときは、精神的にかなり病んでいる方や、重度の病気を持っている方が多いです。
共感覚の保持者が感じる共感覚を持つ理由
私は医学的な知見は全くないので、これからお話するのはあくまで当事者の感覚、感想のお話です。
共感覚は、同じカテゴリの共感覚を持っている人でもその具体的な症状(感じる色や形)などは人それぞれです。
そのことから考えて、その人の経験が大きく関係しているのかなと思います。
今まで生きてきた中で得た経験と感覚が紐付いてしまい、連動して他の感覚も感じてしまっているのではないかなと思います。
例えば、食べ物の場合その食材を食べたときに見た色や、知識としての印象など、総合的な経験・知識がその味に紐付いて連動してしまっているのかなと思っています。
感情に色が見えるというのも、スピリチュアルな話ではなく、その感情に対する本人が持つ色のイメージみたいのを無意識に感じ取ってしまっているのかなと思っております。
人の具合いが悪いというのも経験値であったり、病気の匂いなどを感じ取っているのではないかなと推測しています。
以前、がん患者の匂いを嗅ぎ分けられる犬がいるという話を見たことがありますが、それに近い現象なのではないかと思っております。
あとは、私は感覚過敏という特徴を持っているので、もしかしたら何かその辺りも関係しているのかもしれませんね。
感覚過敏についてはこちらの記事【感覚過敏の辛さと対策について当事者がお伝えします】で触れておりますので、興味のある方はご覧ください。
この記事で伝えたいこと
この記事で伝えたいこと、それは共感覚というものを持っている人がいるということを知っておいて欲しいということです。
特にお子さんをお持ちのお父さんお母さんには、こういう子もいるということを知っておいていただきたいですね。
共感覚というのは本人にとっては当たり前の感覚であることが多いので、思春期になってからや、大人になってから気づくという方も多いです。
上の項目で、定型発達(非発達障害)の人でも7.22%は共感覚を持っていたというデータをご紹介しましたが、そう考えるとクラスに2〜3人は共感覚を持っている人がいるということですよね。
仮にお子さんが共感覚と言われるような特徴を持っていたとしても、すぐに発達障害やギフテッドだと決めつけることはせず、「おかしなことではないよ」と理解してあげることが大切です。
たとえ、お子さんが少し珍しい感覚を持っていたとしても、おかしいと思わず受け入れてあげる。
お父さんお母さんがそれだけでも意識していただければ、お子さんが悲しい思いをするということはなくなると思います。