起立性調節障害とは何か、知りたい方に向けて当事者の体験談とその対策。親ができることに関してお話しております。
起立性調節障害というものをご存知でしょうか?
私はこどもの頃(小学生〜高校生の頃)朝が苦手で、よく立ちくらみを起こしていました。
ひどいときは立ちくらみの直後に意識を失って何度か倒れたこともあります。
病院へ行って脳波などを調べてもらった結果「起立性調節障害」と診断されました。
そこで、この記事では経験者としてのお話や対策法、親ができることなどについて触れていきたいと思います。
目次
起立性調節障害とは
私はお医者さんではないので、「起立性調節障害」の定義については、お医者さんの言葉を引用させていただきます。
概要
一般社団法人 小児心身医学会 | (1)起立性調節障害(OD)
- たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に好発する自律神経機能不全の一つです。
- 過去には思春期の一時的な生理的変化であり身体的、社会的に予後は良いとされていましたが、近年の研究によって重症ODでは自律神経による循環調節(とくに上半身、脳への血流低下)が障害され日常生活が著しく損なわれ、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となることが明らかになりました。
- 発症の早期から重症度に応じた適切な治療と家庭生活や学校生活における環境調整を行い、適正な対応を行うことが不可欠です。
一般的にみられる症状
一般社団法人 小児心身医学会 | (1)起立性調節障害(OD)
- 立ちくらみ、朝起床困難、気分不良、失神や失神様症状、頭痛など。症状は午前中に強く午後には軽減する傾向があります。
- 症状は立位や座位で増強し、臥位にて軽減します。
- 夜になると元気になり、スマホやテレビを楽しむことができるようになります。しかし重症では臥位でも倦怠感が強く起き上がれないこともあります。
- 夜に目がさえて寝られず、起床時刻が遅くなり、悪化すると昼夜逆転生活になることもあります。
経験者としてのお話
最初に朝が苦手だなと感じたのは小学校の4年生か5年生くらいの頃だったと思います。
当時は無自覚でしたが、今思うと「無気力症候群」になった頃からだったかもしれません。
その時の話はこちら【ギフテッド当事者が語る授業の辛さ!私が無気力症候群になった理由】で書いております。
朝起きるのが辛い。これに限っては、特別なことだとは思っていませんでした。
朝が苦手という人はたくさんいますよね。私も親もそれだけでは心配しなかったと思います。
発覚するまでの経緯
おかしいなと思ったのは、少し経ってからです。小学5年生くらいから立ちくらみを起こすようになっていき、立ちくらみをが重いときはそのまま数秒ほど気を失って倒れるということも何度か経験しました。
ある朝、目覚めてトイレに行き用を足し、部屋へ戻ろうとリビングの扉を開けたところで気を失います。
ちなみに、リビングの扉の前には母がらっきょうを漬けていた大きめの瓶が置いてありました。
まさにこんな感じの容器で中々の厚みがあるものです。
気を失った私が意識を取り戻したところ、目の前には寝ていたはずの父が驚いた顔で立っています。
そして、自分の顔から水が垂れている感覚があったので下を向いてみると、らっきょうを漬けていた瓶が粉々になっていて、赤く染まっていました。
不幸中の幸いか、痛みはなかったのですが、気を失った自分は頭から倒れて頭突きで瓶を破壊したようです。
急いで父に病院へ連れて行かれ、頭を何針か縫ってもらいました。
切れたのは頭だけでなく目の下もで、お医者さんにはあと数cmズレていたら失明してたかもと言われました。
その時の傷は今もうっすら残っております。
後日談として父から聞いたのですが、父が寝ていたらとてつもない大きな音がして飛び起き、寝室からリビングに行ったら血まみれの息子が呆然と立ち尽くしていたそうです。
父には申し訳ないですがちょっとしたホラーですよね。笑
ちなみに心配性の母はたまたま実家に用事があって帰っていたのでその現場は見ずに済みました。良かったです。
そんなこんなで、心配した両親が大学病院へ連れていき脳波などの精密検査をしたところ特に異常は見つからず、「起立性調節障害」との診断が下されたというのが発覚するまでの大まかな経緯です。
その後も立ちくらみの後に気を失うという経験は何度かしながらも、徐々にその法則というのを自分なりに理解していき、対処法を編み出して対応してきました。
おそらく中学生の頃がその症状のピークで、2,3日に一度は立ちくらみを起こしていたと思います。
朝起きるということも小学生の頃以上に苦手になり、毎朝母に無理矢理起こされていたのを覚えています。
病院の先生には、大人になると自然と症状も落ち着くと言われていたので、それを信じ、自分なりの対策をしながら過ごしていました。
今書きながら思い出したのですが、私は中学生の頃にバレーボール部に入っていて朝練があったのですが、体が全く追いつかず朝早く起きて練習に行くということができなかったので、診断書を先生に持っていき朝練を免除してもらったりもしていました。
そんな私が編み出した、立ちくらみからの失神に対する対策もご紹介しておきます。
立ちくらみの対策
立ちくらみが起きたときに気を失わないようにするために、気を付けるべきことはすぐにしゃがむことです。
「なんだそんなことか」と思われるかも知れませんが、単純ですが私にはこれが1番効果がありました。
過去に、何かに掴まるのが良いという方法を見たことがありますが、私は掴まったところで気を失うということを何度か経験しました。
しかも立って何かに掴まっているときに気を失うと、結局は転んでしまい怪我をしてしまうということがありました。
しかし、すぐにしゃがむようになってからは、気を失うことも減り、仮に失神したとしても怪我をするということはなくなりました。
あとは、立ちくらみ自体をなるべく起こさないようにするために、横になった状態や座っている状態から急に立ち上がらないということを意識していました。
運動中のように、激しい動きの中での上下運動は問題ないのですが、安静時(特に同じ姿勢のままでいるとき)に急に動くと立ちくらみが起きるというケースが多くありました。
もちろん私の場合であって、「起立性調節障害」と診断を受けた方全員が当てはまることではありません。
ただ、中には同じような症状の方もいらっしゃると思いますので、心当たりのある方は参考にしていただけたらなと思います。
大人になった今は
さて、大人になった今ですが、どうなったのでしょうか。
こどもの頃と比べると、だいぶ立ちくらみも起きなくなりました。
完全にゼロになったわけではないのですが、立ちくらみの頻度は年に2,3回程度になっていると思います。ちなみに特に治療などはしておりません。
ただ、それは体が成長して自然とそうなったのか、大人になるにつれてストレスへの対処が上手になり症状が落ち着いたのかはわかりません。
今でもおそらく、立ちくらみが起きたときに無理して立っていたら失神してしまうかもといった感覚はあります。
しかし、毎回すぐにしゃがんでいるので、大人になってから気を失うほどの経験はしておりません。
起立性調節障害のこどもに親ができること
これに関しても気になる方が多いみたいですね。
検索ワードとして「起立性調節障害 親ができること」というものが上位にありました。
そこで、実際に「起立性調節障害」を経験した子ども目線で、親にできること・して欲しいと思うことを書いてみたいと思います。
まず、朝が苦手というのは気力だけの問題ではないということを理解してあげてください。
「起立性調節障害」ということに関わらず、人間には夜型傾向の遺伝子を持っている人もいます。
私自身も遺伝子検査をしたところ「夜型の傾向がある」という結果が出ました。
ちなみに、遺伝子検査の話はこちらの記事【ギフテッド(高IQ)は遺伝?遺伝子検査[ジーンライフ]の結果を公開します】で触れおります。気になる方はご覧ください。
そして、「起立性調節障害」となる理由にはストレスが影響している可能性も大いにあるということを理解してあげましょう。
こどもの苦しみとは、症状が治らないということより、親や周りから理解されないということのほうが大きいと思います。
逆に言えば、親がちゃんと理解さえしてくれていればそこまで辛い思いをするということもなくなると思います。
また、もしこれを読んでくださっているお父さんお母さんの中に、お子さんが「朝が苦手」「たまに立ちくらみを起こしている」といったことに心当たりがありましたら、私のようなケースもあるかもしれないということを頭に入れておいてあげてください。
私は必ずしも検査をする必要もないと思いますが、親や周囲の人間がこどもの症状を理解してあげる姿勢は必要だと思います。
少しでも「起立性調節障害」という症状に当てはまる方が辛い思いをすることが減るように願っております。