オルタナティブ教育を知ろうシリーズ第5弾は「サドベリー教育」です。
オルタナティブ教育とは何か知りたい方はこちらの記事【オルタナティブ教育とは?ギフテッドとの関係を探ります】からご確認ください。
下記参考書籍です。
目次
サドベリー教育とは
サドベリー教育、ご存知でしょうか?
授業もない。卒業のタイミングも自分で決める。という究極的に「自由」な教育法です。
サドベリー教育の概要(上記書籍から引用)
創始者・ おいたち | ダニエル・グリーンバーグ Daniel Greenberg 1934~ ニューヨークのコロンビア大学で理論物理学の博士号を取得。 同大学で物理学や科学史を教えていたが、理想の教育を実現するため、1968年にサドベリー・バレー・スクールを開く。 |
理念・ スローガン | 「この学校の目的は、学習が自己の動機、自己管理、自己批判によって最善のかたちでもたらされるとの原則に基づき、コミュニティとしての教育環境を創設、維持するものである」(サドベリー・バレーの規則より) |
特徴・ キーワード | 子どもたちに一切の強制をしない。一日中遊んでいてもいい。子どもたちが 「教えてほしい」と思ったときに「協定」を結ぶことで〈クラス〉が成立し授業が行われる。学校のルールの制定、予算管理、スタッフの採用解雇など、学校運営のすべての決定に子どもたちが関わる。最高決定機関である「全校集会」で子どももスタッフも同等に1人1票の権利をもつ。「デモクラティック・スクール(民主主義の学校)」ともいわれる。 |
この「サドベリー教育」の要点を私の言葉でまとめると、「こどもには自ら興味を持ち学ぶ力というのが備わっているので、一切の矯正をせず好きなように行動していい。そのためにルールが必要な場合はこどもたち自身で民主主義的に投票で決めることもできる教育法である」ということです。
サドベリー教育に対しての感想
今回のシリーズでご紹介するオルタナティブ教育の中で一番自由な教育法であり、個人的にも一番良いなと思った教育法です。
この「サドベリー教育」では授業という概念がないので、おそらく賛否両論ある教育法なのだと思います。反論の言葉もだいたい想像がつきます。
他の解説サイトでは、デメリットとして
- 年功序列が身に付かないのでは
- やりたくないことに対する耐性が不足する
- 授業がないから学力不足の懸念がある
といったことが書かれているのを見ましたが、どれも不要な心配だと私は感じました。
年功序列の感覚を身に付ける必要なんてない(そんなことに固執する環境は気にする必要なんてない)ですし、やりたくないことを無理にする必要もありません。
授業がないないから学力不足になるという懸念も、こどもの本質をわかっていない人の発言でしかないと思います。
この「サドベリー教育」の前提には、「人間とは生まれつき好奇心を持つものである」という思いがあります。
これに関しては私も完全に同意しております。
こちらの記事【赤ちゃんは皆ギフテッド!才能を枯らさない育て方】でもお話していますが、こどもは自分から楽しんで学ぶという感覚を生まれつき持っています。
「サドベリー・バレー・スクール(本家スクール)」では授業がなくても、こどもが学びたいことがあれば、そこは「協定」という約束をスクール側と結び、学べる環境は用意してもらえます。
さらに、こどもの発言権・投票券というものもしっかり確保されていて、予算管理から教職員の採用・解雇まであらゆる決定事項において教職員と同様の権利を持っているのです。
卒業のタイミングすら自分が決めることができるので、そのときにやりたいことによって自分で適した内容を考え行動することができるようになるだろうなと思います。
上記書籍内では、この「サドベリー教育」を導入している「東京サドベリースクール」に取材へ行き、その時の話が書いてあるのですが、そこでの生徒の発言がとてもしっかりした考えを持っていて感動しました。
世の中の多くの大人ができていないような考えを、中学生の女の子が既にできていると感じられる発言をしていたのです。
私は気になってそこのスクールのことを調べてみたら、入学検討をされている親御さんからのよくある質問に対し、そこへ通っている生徒さんからの回答というものをサイト内で公開しておりました。
その回答もとてもわかりやすい回答になっていて、非常に共感できる内容でした。
たまたまサイト内でボランティア募集をしていたのですが、自分にもう少し余裕ができたら応募してみようかなと思ったくらい心惹かれました。
もし、将来自分のこどもが学校に馴染めない、もっと自由な学校へ行きたいと相談してきた際は積極的に検討したいと思いました。
ギフテッドとの関係を探る
最後にこのブログらしく、ギフテッドとの関係を考えてみたいと思います。
ギフテッドって何?という方はこちらの記事【ギフテッドとは】をご参考ください。
上述した通り、今回のシリースで一番良いなと思ったこの「サドベリー教育」は、ギフテッドとの関係も大いにあると思いました。
小さいうちからこの「サドベリー教育」の環境下で育つことができた方はきっと、本来生まれ持った才能を枯らされることなく、自分自身の力でその才能を磨き伸ばすことができるだろうなと思います。
そして、ギフテッドと呼ばれるような平均から離れた能力を持っている子にとっても、とても生きやすい・過ごしやすい環境だろうなと想像しています。
直接見たわけではないので、完全に断言することはできないのですが、それでも現時点での情報からできる想像としては、自分もこどもの頃にこういう学校へ通いたかったなと思える素晴らしい教育法であると感じました。
参考書籍
- 【序章】オルタナティブ教育とは?ギフテッドとの関係を探ります
- 【第1回】「モンテッソーリ教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう①
- 【第2回】「シュタイナー教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう②
- 【第3回】「レッジョ・エミリア教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう③
- 【第4回】「ドルトンプラン教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう④
- 【第5回】「サドベリー教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう⑤
- 【第6回】「フレネ教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう⑥
- 【第7回】「イエナプラン教育」とは?オルタナティブ教育を知ろう⑦
- 【感想】「世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方」を読んだ感想